彼女と映画 1917

1917命をかけた伝令

つい先日見た、この映画のワンシーンを思い出した。残酷な戦場、人の生死の間に、はらはらと静かに舞い落ちる、桜の花びら。まるで人の命の儚さをあらわすような花びら。

わずかにピンク、でもほとんど白。
透き通るような色白の彼女の笑顔は、そんな儚げなイメージだった。数ヶ月前に結婚したばかりだった。

同郷だった。年はだいぶ下だけど、高校も大学も同じだった。こないだ地元に新しくできたショッピングモールの話をしながら、笑いながら一緒に帰った。

この映画、ストーリーは至ってシンプル。

命をかけて走る。戦場ど真ん中をひたすら走る。作戦中止の伝令を届けるために。1600人の兵士の命を守るために、自分の命をかけて走る。

周りでは、人の命の火が、あっという間に消えていく。自分の命の火も、いつ消えてもおかしくない。

ものすごい映画なのは間違いない。一歩も動いていないのに、息を止めて一緒に走っている感覚。苦しい。

戦地の惨状とは裏腹に、青空を舞い散る真っ白な桜の姿は、息を飲むほど美しい。人の命の儚さが、桜の花びらの、儚い姿に重なる。

今の時代に生きている、そのありがたさを噛み締めた。美しい桜を、青空を舞い散る桜の花びらを、穏やかな気持ちで愛でることができる、その幸せを噛みしめた。

来月にはこの辺りでも咲くであろう、その美しい桜を見ることなく、彼女は逝ってしまった。昨日は笑っていたのに、もう二度とあの笑顔を見ることはない。ひたすらにひたすらに、悲しい悲しい。

なぜ彼女が死なねばならなかったのか、全くわからない。これからもわからないだろう。

ただひとつ、わかっていることは、今日も明日も明後日もその次の日も、彼女が喉から手が出るほど生きたかった日々だということ。そして、私たちは、生きている。生きていることは、それだけで奇跡だということ。

彼女の死に、戦争はまったく関係ない。それでも、あまりにも若すぎる死、そのあまりにも美しくも儚い命の火は、この映画と重なってしまう。彼女のことを思い出す時は、この映画の舞い散る美しい桜と共に、思い出すことになるだろう。 

天国で、安らかに、心穏やかに、桜を愛でてほしい。御冥福をお祈りします。

1917命をかけた伝令、ストーリーを貼っときます。一見の価値ありです。

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第一次世界大戦真っ只中の1917年のある朝、若きイギリス人兵士のスコフィールドとブレイクにひとつの重要な任務が命じられる。それは一触即発の最前線にいる1600人の味方に、明朝までに作戦中止の命令を届けること。進行する先には罠が張り巡らされており、さらに1600人の中にはブレイクの兄も配属されていたのだ。戦場を駆け抜け、この伝令が間に合わなければ、兄を含めた味方兵士全員が命を落とし、イギリスは戦いに敗北することになる―
刻々とタイムリミットが迫る中、2人の危険かつ困難なミッションが始まる・・・。
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