ブックレビュー 捨てられる男たち 劣化した「 男社会」の裏で起きていること

こちら、衝撃の一冊。

企業に勤める人、特に男性は絶対読んだ方がいい。
それに、人材育成や経営を考える人、人を財産と考えている人も、この現実を知っておいた方がいい。

この本に登場する管理職の中年男性たちは、部下の成長を心から願い、長時間労働の是正、女性登用の促進など職場が抱える課題に果敢に立ち向かい、そして妻子への想いを熱く語っていた。

それなのに、なんという悲劇!!
自分の想いとはまるで真逆の状況におちいり、まさかの加害者になってしまった彼らの口から語られる言葉は、なんとも身につまされるものがあります。

彼らがなぜ訴えられ、パワハラやセクハラ、家庭内モラハラなどのハラスメントの告発を受け、引きずり下ろされたのか。

無自覚ハラスメント”──。
これが彼らが陥った行為の正体。それは、彼らに無批判に内在化された「男社会」の価値観

厳しい雇用情勢や職場環境の変化、危機が叫ばれる家族の変容などにより、日本では今、従属的な立場の男性が多数派になっていると著者はいう。

最も深刻な問題は、そんな従属的男性たちが、いまだ「男らしさ」の呪縛から逃れられないでいること。「男らしさ」規範の重圧は今や、「呪い」にまで深刻化している…。

これ、女性の私にも、会社という組織にいるとすごくわかる。男社会の価値観が未だに主流の会社という組織では、女性であってもやっぱり強さが優秀とされ、求められ、評価される。それを唯一の正解と信じて突き進んだ結果、男性でも女性でも、どこかでポッキリ折れる人たちを多くみてきた。

私自身は、早々に弱さを開示することができて、本当によかったと思っている。自分らしくいることが、自分の人生でいちばん大切であることはもちろん、実は人を雇う企業側にとっても社会にとっても実はサステナブルなのだとしみじみ思う。

この本のような悲劇の人々を増やさないため、少しずつでも自らの意志で「男らしさ」の呪いを解いていくことは可能である、と著者は言う。

その手始めとしての日常生活での実践が、世代間、男女間、夫婦・親子間での価値観の相違を受容し、理解することなのだ。これがひいては、ハラスメントの防止につながっていくのである、と。

そう、閉鎖された家庭内で脈々と受け継がれる価値観、それが呪いとなっているということ、家庭の外にも大きく悪影響をおよぼす可能性がえること、

悲しいけれど、こんな現実をまずは知る。

もし自分の望む未来とは真逆の負のスパイラルになっていたとしてもそれは断ち切ることができると私も思います。

簡単ではないけれど、人それぞれの価値観の相違を尊重することで、ありのままの自分をも尊重することができるようになります。だから、そこからはじめる。自分の弱さを認め、弱くてもいい自分を大事する。

そして、自分の弱さは開示して人に頼る。たすけてくれる周りの人に感謝しつつ、一つ一つできることをやっていくことで、自分らしくありたい未来に向かって幸せに生きることはできると信じています。

 

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